スポーツと製造業に見るデータ活用の必要性 ~金属加工工場のIoT導入の未来~

プロスポーツの世界では、データの活用が常識となっています。試合中、MLBの大谷翔平選手やダルビッシュ有投手がベンチでタブレット端末を見つめ、過去のデータをもとに投手の配球や打者のクセを分析し、次のプレーの戦略を立てています。また、練習時には、自らの投球の回転数やリリースポイント、打球の飛距離、スイングスピードなどを分析し、パフォーマンスの向上を目指します。
なぜスポーツ界ではこれほどまでにデータ活用が進んだのでしょうか? それは、データの活用が競争優位性の確立に直結するからです。データを駆使することで、選手やチームは常に最適な戦略を練り、パフォーマンスを向上させることができます。逆に、データを活用しないチームは、競争に勝つことが難しい時代になりました。
一方、製造業ではデータ活用が十分に進んでいるとは言えません。特に中小企業の工場では、作業手順が明文化されておらず、熟練した作業者の経験と勘に依存しているケースが多く見られます。これにより、作業の効率や品質のばらつきが生じやすく、標準化が困難になっています。また、IoTの導入に対する関心は高まりつつあるものの、実際にデータを活用している企業はまだ少なく、効果を実感しづらいため、導入の優先度が低くなりがちです。
1. スポーツと製造業におけるデータ活用の違い
スポーツの世界では、データ活用は「競争に勝つための必須条件」として認識されています。選手やチームはデータ分析を通じて、パフォーマンスを向上させるための改善点を明確にし、戦略的な決定を下します。
例えば、
・サッカー:選手の走行ルートをGPSデータで可視化し、戦術改善に活用
・野球:試合中は投手の配球や打者のクセを分析し、練習時には投球の回転数や打球の飛距離、スイングスピード・軌道などを解析
・陸上競技:ストライドやピッチ数などのデータを分析し、記録更新を目指す
一方、製造業では「職人の勘」や「経験」に依存した生産方式がいまだに主流です。設備のデータ収集は比較的進められていますが、作業者のパフォーマンスを可視化する取り組みは少なく、改善の指標が属人的になっているケースが多く見られます。
2. 製造業におけるデータ活用の必要性
スポーツ界ではデータ活用により競争優位性を確立し、パフォーマンスを向上させています。製造業においても、データを活用することで生産性向上、無駄の削減、品質の向上が可能になります。
特に、金属加工工場のような生産現場では、データを活用することでPDCAサイクルを回し、継続的な改善を実現できます。
データ活用による改善の流れ
1. 機械の停止時間・頻度・タイミングを把握(問題の所在)
無駄なダウンタイムを削減し、生産効率を向上
2. 機械の停止理由をデータで特定(問題の要因)
作業プロセスを分析し、機械の稼働を妨げる要因を特定
3. 改善対策の効果をデータで評価(対策の効果)
導入した施策の有効性を測定し、さらなる最適化
データを活用することで、生産現場の改善プロセスが定量的に評価され、より精度の高い生産管理が可能になります。
3. 作業者のデータ活用に対する課題
製造業では設備のデータ収集が進みつつある一方、作業者の動きをデータ化することには依然として心理的なハードルが存在します。
現場の管理者の中には、「作業者の動きを記録すると監視されていると感じるのではないか」と懸念する声もあります。しかし、スポーツ界では、選手が試合中や練習中に自らのデータを収集するのは当然のことです。選手たちはそのデータを活用することで、優位性を発揮できることを理解しています。
これは製造業でも同じはずです。しかし、現場ではその認識が十分に浸透していません。その背景には、工場におけるデータ活用の効果が十分に認識されていないという現実があります。
4. 製造業に訪れる「データ活用の時代」
プロスポーツの世界では、データ活用が競争優位性を高めるために不可欠なものとなりました。製造業でも、データ活用が企業の競争力を左右する時代が到来しています。
これからの市場で生き残るためには、データを活用した生産改善が不可欠です。「経験と勘」に頼り続けるのか、それともデータを活用して効率的で安定した工場を実現するのか。その選択が、これからの製造業の未来を大きく左右するでしょう。
今こそ、製造業における「データ活用の時代」が始まろうとしています。
まとめ
スポーツ界ではデータ活用が競争優位性の鍵となっており、それが常識となっています。一方、製造業では「職人の勘」や「経験」に頼る傾向が根強く、データ活用の必要性が十分に認識されていません。
しかし、データを活用すれば、製造現場の生産性向上や品質改善が可能になります。機械の停止時間の可視化、停止要因の特定、的確な改善施策の実施と効果測定など、多くのメリットが期待できます。
スポーツ界のように、製造業もデータ活用を「競争力の源泉」として捉え、積極的に導入を進めるべき時が来ています。製造業における「データ活用の時代」は、すぐそこまで来ているのです。
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