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工場のIoT導入で最初に収集すべきデータとは? ~稼働データと停止理由を把握する重要性~

1. 工場IoTで収集すべきデータとは?

IoTを工場で導入する目的は、生産性向上にあります。そこで最初に検討すべきは、どのデータを収集するかです。多くの工場では、まず機械の稼働状況のデータ収集に着手します。稼働データは、工場の機械が「いつ動いているか」「いつ停止しているか」を把握するのに役立ちます。例えば、機械ごとの稼働時間や稼働率を把握することで、生産状況の可視化が可能になります。

2. 稼働データだけでは不十分な理由

機械の稼働データは、確かに稼働率や生産能力を評価するために有効ですが、実際に機械が停止した理由までは明らかにしません。例えば、機械が一定の時間停止していたとしても、その原因がわからなければ、単に稼働時間の把握に留まり、効果的な改善策を打つことは難しくなります。特に少量多品種生産を行う工場や中小の工場では、作業者の関与が生産に欠かせないため、さまざまな要因で機械の停止が起こります。機械の停止が「なぜ」発生したのかを追跡することが不可欠です。

3. 停止理由データの活用で生産性を向上させる

機械の停止理由を把握するために、次のデータの収集を検討することが効果的です。

作業者の動きのデータ
機械の停止時に、担当者が機械の近くにいたのか、他の場所にいたのかを把握することで、停止理由の分析に役立てます。例えば、作業者が材料置き場や治工具置き場、検査室にいた場合など、別の作業に時間を取られていた可能性が考えられます。

作業内容のログ
作業日報などにより、停止中の作業内容が記録されていると、段取り作業に時間を取られたのか、他の業務の影響があったのかを推測することができます。

機械の状態異常データ
機械の異常やエラー情報も収集することで、停止の直接的な原因(故障、メンテナンス必要性など)を特定することが可能です。

これらのデータを分析することで、機械の停止が「作業者の作業待ち」「段取り作業」「異常発生」などの原因であったかを把握でき、工場全体の効率化に役立つ改善策を考えることができます。

4. データ収集と分析による改善施策

機械の稼働状況と停止理由データを総合的に分析することで、以下のような改善施策を検討できます。

作業内容・業務範囲の見直し
「多能工化」の大義名分のもとに、作業者に多くの作業を任せすぎていないか、機械稼働に従事する時間を十分に確保できているかを確認します。

段取り時間の短縮
機械の前での作業内容を分析し、段取り時間を短縮するための改善策を検討します。

異常検知の迅速化
エラーログから傾向を把握し、異常が発生する前にメンテナンスを実施することで、ダウンタイムを短縮できます。

このように、稼働データに加えて停止理由データを収集することで、工場のIoTが「単なるデータ収集」に終わることなく、具体的な生産性向上策を導き出すための重要なツールとなります。

まとめ

IoTを活用したデータ収集では、単に稼働状況を追うだけでなく、停止理由を把握することが重要です。工場のIoTを成功させるためには、稼働データと停止理由の両方を収集・分析し、生産性向上に結びつけることが鍵となります。データ収集を単なる記録で終わらせず、戦略的なツールとして活用することで、真の効率化と生産性向上が実現できるでしょう。