工場の稼働データを収集する4つの方法とその特徴

IoT活用が進む製造業において、機械の稼働データを収集することは生産性向上に欠かせない取り組みです。しかし、現場で実施する稼働データの収集方法は多様で、それぞれの現場に適した方法を選ぶには、データ特性や装置の設置に関する知識が重要です。本記事では、現場で活用できる4つの稼働データ収集方法をご紹介します。

1. シグナルタワーを検知する方法

工場でよく見られるシグナルタワー（稼働状態やエラーを示すライト）に光センサーを設置し、その点灯状況を検知して稼働状況を把握する方法です。

特徴
機械に直接触れる必要がなく、設置が機械に影響を及ぼさない点が利点です。
機械によってランプの光り方が異なる場合や、停止時にのみ点灯するランプを使用している場合（古い機械に多い）には、稼働データの取得に工夫が求められます。

2. 電流を検知する方法

配線に電流センサーを取り付け、機械の稼働と停止による電流の差を検知して稼働状況を記録する方法です。

特徴
配線を改造せずに稼働状況を取得できる点が利点です。しかし、どの配線に設置するかを判断するには、配線図や機械メーカーへの確認が必要です。
シグナルタワーがない設備にも適用できますが、電流の変動特性を踏まえた設定が求められます。

3. LAN接続して取得する方法

NC（数値制御）機械にLAN接続を行い、稼働データやエラー情報、NCプログラムの詳細情報を取得する方法です。

特徴
稼働データだけでなく、NCプログラムやエラー情報も取得できます。
MTConnectなどの通信プロトコルに対応していることが前提で、メーカーによる設定やLAN環境の整備が必要です。また、古い機械には対応していない場合もあります。

4. コントローラー画面を撮影する方法

NC機械の操作パネルや制御画面をカメラで撮影し、OCR（光学文字認識）で文字情報を読み取って稼働状況を記録する方法です。

特徴
CNC接続に対応していない機械や、機械の新旧を問わずに適用できます。
カメラの設置や画像処理には手間やコストがかかり、環境に応じたメンテナンスも求められます。

5. 共通の課題：データ集約の重要性

これらのデータ収集方法を利用して稼働データを取得するには、単に機器を設置するだけではなく、データを一括で受信し、データベースに集約・管理する仕組みも欠かせません。さらに、取得したデータをわかりやすく可視化し、稼働状況の分析に活かすためのインフラ整備も必要です。このように、収集から集約・管理に至るプロセス全体の整備は、稼働データの有効活用を実現するうえで重要な課題となります。

まとめ

稼働データの収集方法にはさまざまな手法があり、工場の環境や機械の特性に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。また、各方法には特有の課題があり、収集したデータを管理・分析するためにはインフラの整備が欠かせません。データ収集の工夫とともに、全体の管理体制を整えることで、工場の効率化と生産性向上に繋げていきましょう。