稼働監視キットPro 導入インタビュー
“改善の継続”を可能にしたのは、現場に寄り添う可視化だった

旭金属工業株式会社 代表取締役社長 山中 郷 様
航空機部品メーカー
従業員数:331名
導入機能:機械稼働データ収集(7台)、作業者位置データ収集(6人、13箇所)
——「稼働監視キットPro」導入のきっかけを教えてください。
以前は外部のコンサルタントに依頼して製造現場の改善を進めていました。たしかにその場では成果が出るのですが、時間が経つと現場の意識が薄れてしまい、改善の効果が長続きしませんでした。
その経験から「継続的に改善に取り組める仕組み」が必要だと感じていた中で、データを活用して現場改善を支援してくれる「稼働監視キットPro」は、まさに求めていたツールでした。
——導入にあたって、不安やハードルはありましたか?
正直に言えば、「本当に効果があるのか」「私たちでも使いこなせるのか」といった不安は大きかったです。特に当社は、小ロット・多品種の航空機部品を製造しており、汎用的なシステムでは対応しきれない可能性もあると感じていました。
その点、「稼働監視キットPro」の提供元であるエヌブリッジさんが、航空機部品製造に精通した専門家であり、小ロット・多品種の現場特有の事情を理解しているという安心感がありました。また、導入後も毎月フォローアップの会議を実施していただける点も、非常に心強く感じました。
現場には当初、「これは頑張りを見える化するシステムなんだ」と説明し、理解を得るよう努めましたが、最初はやはり疑念があり、「監視されて怒られるのではないか」といった不安の声もありました。
しかし実際に使い始めてみると、このシステムによって現場の「困りごと」や課題が明らかになることがわかり、作業者自身が「なぜ機械が止まったのか」をデータを使って積極的に説明してくれるようになったのです。
実際、多くの停止要因は、現場の努力不足ではなく、会社全体の業務フローの不備や作業手順の曖昧さといった「仕組み側の問題」であることが分かりました。たとえば、急な別作業の割り込みでやむなく機械を止めざるを得なかったり、不明確な手順のまま作業を進めた結果、想定よりも時間がかかってしまうといったケースです。
このシステムを通じて、「現場の努力を可視化し、仕事をよりスムーズにするためのツールだ」と現場が実感できたことが、意識が変わった、大きな転機だったと感じています。
——導入後はどのように活用されていますか?
全社で毎月実施している「生産会議」において、稼働監視キットProで収集したデータを全社で共有しています。私自身を含め、役員も毎月その内容を確認し、現場の状況を客観的に把握するための重要な資料としています。
データはごまかしがきかず、客観的な事実を示してくれるので、正確な状況把握には非常に役立っています。
さらに、現場リーダーを交えた毎月のフォローアップ会議では、「予定外の稼働停止」に注目し、その要因をデータから分析しています。停止の背景を明らかにし、対策につなげる取り組みを継続的に行っています。
——導入してみて、どのような効果がありましたか?
最も大きな成果は、現場で実際に起きている課題を、経営者として“見える化”できたことです。
以前からも作業記録を取っていましたが、手書きで記入されたものをPDF化して保管していたため、実質的に活用されることはありませんでした。
しかし今回のシステム導入により、今まで私が知ることのなかった「現場の困りごと」——たとえば業務フローや作業手順のような構造的な問題——が、データを通して明らかになったのです。これは経営にとって非常に価値のある発見でした。
——今後の展望をお聞かせください。
今後は、収集したデータを活用して、より精度の高い生産計画の立案に取り組みたいと考えています。お客様からの引き合いや納期確認に対しても、根拠ある数値をもとに、自信を持って正確な回答ができる体制を整えていきたいです。
また、現場の作業者に対しても、日々のやりがいを感じられるような目標を提示し、「ただこなすだけの仕事」から、「達成感のある仕事」へと意識を変えていきたいと考えています。
現在は、明確な日々の生産計画がなく、「いついつまでに大量の仕事を終わらせる必要がある」といった漠然とした状況になりがちです。これを改善し、「今日やるべき仕事が明確になり、それをクリアすれば達成感が得られる」ような運用にしたい。
たとえば、残業をしなくても目標を達成できれば、その成果に応じた報酬が支払われるような仕組みを構築し、働き方そのものを見直していくつもりです。